春の風

三寒四温という言葉の通り、気温は波打ちながらも、着実に春を感じるようになった。 公園や街路樹の木々は青々と生い茂り、ひとたび窓を開ければ、心地よい春の風が部屋を吹き抜けてゆく。 4月は大変忙しいひと月となった。 忙しさは緊張感に繋がるし、余裕…

思いを寄せること、他人でいること

3月4日と5日の2日間、NHKでは南海トラフ巨大地震をテーマにしたドラマを放映した。 一度は地震学を志した者として、あるいは職業柄、見ておくべきとは思っていたものの、録画予約を忘れていたため、NHKプラスで視聴した。 しかし、私は全編を見ることはでき…

母の思い出

昨年末、実家に帰省した際に、1970年に学習研究社が出した「標準学習カラー百科」を中古で購入した。 いまだ本が耐久消費財だった時代、全10巻を揃えるとなると、当時では相当の価値だったものと思う。 なんと、1970年の大卒初任給の半分近くの値段である。 …

釣瓶落し

季節は秋分も過ぎて、日が暮れるのがだいぶ早くなってきた。 朝の涼しい風に誘われて出かけたはずが、昼間の照りつける太陽に邪魔される日が続く。 都会に引っ越してきて半年が過ぎた。 齷齪働いていると、半年などこぼれ落ちる砂粒のように儚い。 近ごろ、…

旅路

本は心の旅路 有隣堂のブックカバーにはそう記されている。 うんうん、ほんと、そうなんだよね! というほどの気持ちに至るほど、心の素地が育っていないのだが、 平日の仕事疲れに沈む心を、どこか広い空に放り投げてくれるような言葉だ。 通勤時、車窓のな…